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こんにちは、教育コンサルタントの西條美穂です。
私は、教育の現場で
「どう思う?」「あなたの意見は?」
という問いを子どもたちや学生たちにたくさんするようにしています。そして、その答えから私自身もたくさんのことを学ばせてもらっています。
子どもたちは、日常の中で「正しい1つの答えのある問い」を投げかけられ、それに答えることを訓練される時間が多いです。そのような子どもたちは、「あなたはそれに対してどう思う?」というような決まりや制限のない自由な(open-endedな)質問を突然投げかけられると、そのまま黙り込んでしまったり、驚いたりしてしまいます。それでも、繰り返しこれを続けていると、しっかり自分の意見をきかせてくれるようになり、しまいにはきかれてもいないのに活き活きと自分の意見を話してくれるようになります。
「どう思う?」「あなたの意見は?」といった自分の意見を求められることで、どのような効果や変化があるのか、5つにまとめてみました。
1.自分の考えを述べるには、様々なことをより深く学ばなくてはならない
まず、自分の考えを述べるには、聞かれたことについて深く知る必要があります。そうでないと自分がどう思うかまでたどり着くことができません。例えば「今の難民問題に対する日本の政策に対するあなたの考えは?」ときかれたとします。自分の意見を言うためには、まずどんな難民問題があって、日本はどんな対策をどんな背景でやっていてなどということをまずはしっかり勉強しなくてはいけません。そして、自分の意見を考えた後も、本当に思い込みがないか、あの部分をもっと知らないと言えないのではないか、などの新しい疑問も出てきます。これは、単に「今の難民問題に対して日本はどんな政策をしていますか?」ときかれるよりも深い学びになるはずです。
2.答えのない問題に取り組む力がつく
答えが決まっている問いに答えることに慣れてそれが当たり前だと思っていると、答えが決まっていなかったり、答えが1つじゃなかったり、答え自体なかったりする問いに答えることが、とても不安だったり、できないと思ってしまったりします。しかし、人生においては、答えのない問題に直面することの方が、答えがある問題に直面することよりずっと多いです。ましてや不確実な未来を生き抜くためには、ますます必要になってくる力です。日々の中でしっかりトレーニングしていけたらいいですね。
3.自分の考えていることがわかる
「自分の考えは何か、どんな傾向があって、何を求めているか。」それらに気付かずに過ごしていたところから、「あなたの考えは?」と聞かれることによって、「ああそうか、自分はこんなことを考えているんだ!」としっかり気付くことができます。
4.人に伝えることでさらに良いアイデアにブラッシュアップされる
自分の中だけで考えているとうやむやになっていることも、人に伝えることでもっとわかりやすくしようとしたり、抜け落ちている部分に気付いたりできます。それによって、自分の意見を再認識できるだけでなく、自分にとってより良いアイデアにたどり着くことができます。
5.自分の考えていることが重要だと気付く
ひとたび自分の考えていることに気付くと、それが自分の人生において非常に重要だと気付きます。自分が何を不愉快に感じ、幸せに感じ、どうしていきたいかと言うことを知ることは、まさにどんな人生を歩んでいきたいかに直結します。自分の幸せは自分にしかわかりません。自分の考えを持つこと、それを指標にすることがいかに重要かがわかります。
このように、「どう思うか」をきかれることで、たくさんの学びとこれからに必要な力を育むことができます。
ただ、これを訓練するのは簡単なことではないかもしれません。急に「あなたの考えは?」ときかれても、唐突過ぎて嫌がられて終わってしまう可能性もあります。それなので、簡単なところから始めてみてはいかがでしょう。
例えば、その日に見たテレビ番組に対して「どう思った?」などときいて話してもらうのです。その後に、それがどんな答えであっても、「そうか、そんな風に思ったんだね。ちゃんと自分の意見があるって素晴らしいね。」と声掛けをするのです。そうすると子どもたちも「自分の意見をもつことは大切なんだな!」と気付くことができますし、自分の意見を臆さず言えるようになっていきます。
自分の幸せは、自分にしかわからない!だからこそ、幼いころから「どう思う?」をたくさんきいて、自分の考えや気持ちに耳を傾け、伝える癖を付けて行きたいですね!そして、私たち大人も子どもたちと一緒に取り組んでいきたいですね!